親族内 事業承継


1. 一般社団法人は 、 一定の条件を満たす場合 、 税法上 、 自動的に 「 非営利型一般社団法人 」 として扱われ 、 以下のメリットを受けます 。 本スキームはそれらのメリットを活用するものです 。
(1).寄附金収入に対する課税がありません。
(2).所有財産に対する相続税の課税がありません。
設立登記のみをもって成立し、 許認可は不要で 、 当局による監督もありません。

2. 「 非営利型一般社団法人 」 として扱われるための主な要件は以下の通りです。
(1).学術研究者支援事業等の社会貢献事業を主たる目的とし、配当をおこなわないこと 。
(2).贈与者に特別な利益を与えないこと。
(3).理事の定数が6名以上及び監事の定数が2名以上で、 理事会の設置があること。
(4).上記各役員について、それらの親族等である者の合計数が 、 総数の3分の1以下であること。

 


以下、非営利型一般社団法人が買収した会社を「事業会社」 と言います。

 


ポイント: 自社が相続税の対象外になります。
理由:非営利型一般社団法人が間接的に所有するものであるからです。
以下、売却した自社を「承継対象会社」と言います。


「経営委任契約」について
1.経営受任会社は、承継対象会社の事業を、自らの裁量および計算において経営します。
2.経営による利益は、すべて経営受任会社に帰属します。
3.経営受任会社は、上記利益の一部を、事業使用料として承継対象会社(=委任者)に支払います。 賃貸借契約の賃料の支払いと同様の関係です。
(この事業使用料は 、 非営利型一般社団法人による社会貢献事業の活動資金に充てられます)

ポイント:オーナー社長(その死後は代々の相続人が、順次その地位を承継します)は、 承継対象会社元自社の経営を 経営委任契約に基づき、完全に支配することができます。


ここでの「経営委任契約」の対象は、第2ステップの時点で事業会社が既にがおこなっていた事業です。

ポイント: 上記経営委任契約の目的は、上記事業から生じる利益を経営受任会社の収益とするためです。


末代までの相続人間の「争続」を完全に防止するしくみ
1.経営受任会社(株)を以下の仕組みで設立します。

2.普通型一般社団 法人の法人規定として「 運営準則 」を置き、以下の事項等を規定します。
(1).投資家の死亡後、運営準則の定めを順守することを約した相続人のみが法人への入社資格を有すること。
(2).入社した社員の全員が法人の理事に就任し、それら理事の全員が経営受任会社の取締役に就任すること。
(3).法人の代表理事及び経営受任会社の代表取締役の定め方。
(4).経営方針決定手順
(5).役員報酬の定め方。
3.その結果、運営準則を順守する相続人のみが役員報酬を得ることができることになります。
換言すれば、順守しない相続人は、自動的に役員報酬を得ることができるグループから排除されることになります。
4.上記3.の結果を争う方法は、法律上存在しません。それが「争族」を防止することができる理由です。


ボナウェイ・コンサルティング株式会社 弁護士・税理士 秋田康博
早稲田大学法学部卒業 / ワシントン大学(LLM・法学修士)